第1章

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岬の向こうに白い風車が一つ、また一つと増えて空をかき混ぜている。 時が止まったようなここで、私とお母さんは静かな暮らしを続けていた。 水色のサテンのリボンを使ったバレッタとか。 アンティークレースのつけ襟とか。 青い小鳥の刺繍がされたエプロンや、オーガニックコットンのベビー服。 白い大きな襟のついたチャコールグレイのワンピース。 いつも私に着せてみて、満足そうに微笑む。 その顔が好きだった。 私は誇らしかったけれど、服を汚すのが嫌で外で着るなんて、と思っていた。 お客さまはネットショップの注文がほとんどだったので顔は知らないけれど。 お母さんの作る服は穏やかで優しく。 ひっそりと愛されているようだった。 何もなかったこの街に風力発電所が出来て、訪れる人が少し増えた。 どこか郷愁を誘うようなデザインにふと足を止める人もいた
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