千客万歳

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 この封筒も、件の兄がいない隙にこっそり持ち出したそうだ。もし、このことが本人にバレたらーーそう考えると、不安で仕方が無いことだろう。  籠島はそれなりに野心を持っていて、富や名声を欲するーー決して善人と言える立場ではないが、それでも良心は持ち合わせているつもりだ。  だからこそ、この依頼は受けなくてはならない、と。  「……まあ、中学生から流石に料金を取る訳にいきませんから」  溜め息を吐いて、籠島は立ち上がった。緑ヶ丘が追い出されるのではないかと言う不安からビクッと身を震わせた。  「ああ、安心してください。別に乱暴に怒鳴り付けるとか、そんな真似はしませんから」  「じゃ、じゃあ……!」  「喜んで引き受けましょう、緑ヶ丘椚さん。事件解決に全力で挑ませていただきますよ」
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