至高自閉

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 籠島の携帯電話には、今までの事件で得た多くのコネクションが詰まっている。  警察、探偵仲間、情報屋、過去の依頼人ーーそして、捕まえた犯罪者。  正確には、刑期を終えて、出所した元犯罪者だが。  彼らには、普通の一般人には無い、また別のコネクションを持っていたりする。  「……こないだ出所したって言ってたろ? あいつなら、ネット上の犯罪にも詳しいじゃないか」  『ですから、そういう問題じゃないんですわ、先輩……。折角、足を洗えたんですから、彼にはしばらく斡旋された仕事をこなしてもらって、生活を作ってもらおうって言ってるんですよ』  「じゃあ、少しで良い、話をさせてくれ。何せ、情報が少ないんだ」  『まあ、それも仕方が無いんじゃないですか? そんな簡単に、証拠とか見つけられたら、そもそも犯罪者になんかなりませんて』  電話の相手は思いの外辛辣だった。  江戸村彩貴。  籠島の高校時代の後輩であり、その後は情報屋として、サポートをしている。  『代わりに、そのネットオークションについて調べておきましたよ。まあ、そんなに危ないことはせずに済みましたね』  「悪いな、手間掛けさせて」
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