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『緑ヶ丘蓬。有名な国立大学に通う、いわゆるエリートですね』
江戸村のその発言には、些か偏見が混じっているが、敢えてその辺りには触れないことにしてーーそれが依頼人の兄、つまり、今回の事件(まだ確定していないが)の容疑者と言うことになる。
『経済学部に所属。サークルには所属していない。趣味はネットサーフィン……と、まぁ、こんな感じで役立ちそうな情報をピックアップしてみましたが、どうでしょう?』
「はい、全部当たっています……凄いですね」
むしろ、気持ち悪ささえ感じる江戸村の情報量に引かないのは、流石現役女子中学生のピュアさと言ったところか。
頼んでおいて何だが、気持ち悪いと感じていた籠島だった。
「何か、最近困ったことがあるとか、聞いていませんか?」
電話を切ってから、籠島は緑ヶ丘に質問をした。彼女の家族は、ドラマで見るような冷え切った感じではないと、緑ヶ丘本人の口から聞いているが、正直なところ、全て信じると言う訳にもいかない。
依頼人も嘘を吐くのだ。まだ若いのに、とかそんなものは理由にならない。
「……いえ、何も変わった様子は見せませんでした……」
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