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申し訳無さそうに緑ヶ丘が言った。
まあ、確かにそんな分りやすい『何か』があったなら、最初の内に話しているのだが。
「ちなみに、今日ご両親は?」
「二人共、しばらく海外出張に……。その間、身の回りの世話は、最近雇った家政婦さんが」
そうしている内に、籠島、緑ヶ丘家に到着した。
籠島の予想通り、大きな一戸建ての家だった。全体的に外装は白く、清潔感を感じさせた。
「やっぱり、お金持ちなんですね、緑ヶ丘さん」
「……こんなの、何の役にも立ちませんよ」
「え?」
それは本当にさっきまで話していた少女なのかと、疑問に思う程冷えた声だった。
(……確かに、金があっても、犯罪者作っちまうんじゃあな……)
裕福だから、甘えてしまうのでは全く意味が無い。籠島もそう感じてしまう。
「両親も、そう言う意味では同罪なんですよ……。仕事ばかりで私達のことなんか、見向きもしない」
「……………………」
こんな時、何故だか籠島の頭にはあの怪盗の姿が浮かび上がっていた。
現在、籠島回路は探偵として、この少女の依頼を受けている。
(あいつなら、この場合どうしたんだろうな?)
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