千客万歳

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 自殺者は地獄に落ちると言う話は良くある。  神様から戴いた命を、粗末に散らせるのは大罪だ。  書いて字の如く、『自分殺し』である。  それでは、自殺大国と呼ばれる日本出身の自殺者達は、一体どれ程地獄に落ちると言うのだろうか。  都内の高級住宅街ーーから遠く離れた寂れた商店街。そこの空きテナントが改装されて開かれたのが、現在の『探偵事務所』である。  その世界では有名な私立探偵の籠島回路が所長をしている。  いくつもの難解な事件を解決し、警察からも強力を頼まれると言う、まさにプロフェッショナルである。  そして、先日も現在メディアに大々的に取り上げられている怪盗『論理破綻』と格闘した、として更に知名度を高めていた。  「はぁ、『論理破綻』と書いて、『ロジックエラー』ですか?」  首を傾げながらそう言ったのは、籠島の助手をしている尾張肇だ。  その名前から、所長の籠島には『中途半端』とからかわれることも多い。  だから、前回籠島が対峙したと言う怪盗の当て字に対して、怪訝か顔をるのは、彼女のせめてもの復讐である。  「メディアも面白がって使ってますけど……」
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