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「失礼ですがーーお兄様は今何歳でしょう?」
「20歳で、大学2年生になりますが、それが何か?」
「いえ、気になっただけですので」
にっこりと笑って返す籠島。
「それで、一昨日のことになるのですがーー」
緑ヶ丘が部活から帰り、家に着くと、ポストに何かが投函されていることに気付いた。
「最初は普通に配達だろうと思ったんです……」
それならば、ここには来ていなかっただろう。だから、実際にあったのは違うものだった。
「これです……」
そう言って、緑ヶ丘が自分のスクールバッグから取り出したのは、封筒だった。ただし、切手も何も書かれていない。
「……開けたんですよね?」
「はい。不用心でしたが……すみません」
「中を確認してもよろしいでしょうか?」
「はい、勿論」
籠島はデスクから白い手袋を取り出して、両手に嵌める。
封筒の中身は一枚のカードだった。プラスチック製のトランプのようなカード。
籠島にはとても見覚えのあるカード。
つい最近、全く同じものを彼は見ている。知り合いの警部からコネで見せてもらったことがある。
それと同じものだった。
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