千客万歳

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 「二階堂、三階……」  あの怪盗がいつも現場に遺すカード。  『あなたの宝は戴きました』と、書かれたカードは、確かに彼女のものだ。まだ確証は無いが、以前籠島が見せてもらったカードと、細部のディテールまで全く同じだ。  ちなみに、これらは当然、証拠品として警察に持っていかれる。彼女を逮捕する際の証拠品でもあるからだ。  「……これは、警察の方には?」  「……封筒の中の、もう一枚を見てください」  言いづらそうに、ばつの悪そうな表情と口調で、緑ヶ丘が言った。  そして、中には小さなメッセージカードが入っていた。どこにでも売っていそうな安物なんかではないーー金の刺繍の入った、ある種の芸術とも呼べそうな、美しいデザインのされたカードだった。  「……オークション?」  二つに折り畳まれたカードの表面に書かれた文字を口に出して読む。  籠島が緑ヶ丘の方を見ると、自分には分からない、とばかりに首を横に振る。  確かに中学生がオークションに詳しいとは思えない。例え、主観的にそう思ったとして、そのやり方は正しくないーーだとしても、やはり、自分の勘にも頼ることは大切だ、と籠島は考える。
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