絡まる糸

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「…んんっ…」 恐怖で涙が溢れる。 「泣くなバカ…」 泥棒男が顔を覗き込む。 「っ!」 外国人? 整った顔立ちの泥棒男は口角を上げて私をソファに押し倒し覆いかぶさる。 「んんーっ!んーっ!!」 泥棒男の下でジタバタと抵抗する。 襲われるっ!誰かっ!! 「襲わねーよ。自意識過剰だな…」 へ? 日本語ペラペラ外国人泥棒男の呟きに動きが止まる。 「大声出すな。出したら犯す。いいな?」 引きつる顔でうんうんと頷く。 外国人泥棒男の手が私の口から離れた。 「お前、現在の名前は?」 現在…? 本名って事? 「く、九条…杏花(きょうか)…」 外国人泥棒男の目が暗がりでもわかるほど見開く。 「…同じ名前で生まれ落ちたのか…」 「えっ?」 外国人泥棒男が私の頬を指でなぞる。 「キョウカ…俺がわかるか?」 思いっきり首を振る。 外国人に知り合いはいるけど…こんな綺麗な、いや、泥棒に知り合いはいないっ!! 「…泥棒ね…。」 「えっ…」 今…私の考えてる事読まれた? 「あぁ、お前の考えてる事は全部わかる。」 「っ!」 ま、マジシャン? くくっと笑うマジシャン男。 「マジシャンでもないがな…」 「な、なんなんですか?超能力者?」 超能力男は私の上から下りるとテーブルに腰掛けた。 「俺様の名前はカイン。聞き覚えないか?」 カイン…カイン… 「全然ありません!て言うか、窓から来たんですか?」 不思議と恐怖心は和らいでいる。 名前を知ったからかな? 「ああ、窓から来た。」 もしや…スパイダーマン…? カインは首を傾げた。 「キョウカ…、やっと会えたのにお前は…」 「えっ?どういう意味ですか?」 カインはため息をつくと立ち上がった。 「まぁ、いい。時間ならたっぷりあるからな。」 カインは窓の方へと歩き出す。 「ちょ、ちょっと!危ないです。窓から帰らなくても…、えーっ!!」 カインは真っ黒な翼を広げた。 こ、コスプレ?! 「じゃあな、キョウカ。また会いに来る。」 カインは窓から飛び降りた。 「きゃぁああ!!!無理無理っ!私の部屋から飛び降り自殺なんて!!」 慌てて窓まで走り寄る。
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