第1章

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・・・・・ 椿、ブラウの方へ場面は移り。 「いい?椿ちゃん。コレは基本だからさ。あの的を目掛けて、肩の力を抜いてやってごらん?」 「う、うん……。…火の守り神よ、我に御身の力を授けん…鋭き矢となりて、敵を討て……ファイアアロー!」 集中して的へ差し出した指の先には一瞬火が集まるが、直ぐに煙になって消えてしまう。 「…失敗…しちゃった…」 「大丈夫大丈夫!自然に身を任せれば、すぐ出来る様になるって!」 「それが……それが、簡単に出来ないから失敗してるんじゃない」 ため息交じりの椿にブラウはあくまで明るい。 椿はその態度が不満だった。 「大丈夫だって!椿ちゃんなら、すぐ出来るから!ね?」 「……楽観的過ぎ」 大丈夫、ばかり繰り返すブラウにぼそりと椿は呟いた。 『…確か、他の皆は基本は出来る様になってるって聞いてる……出来ないのは、あたしだけ…。如何して、出来ないのかな……あたし、役立たずみたい…』( ・・・・・ 「椿、今日は、椿の好きなハンバーグにしようか」 「姉さん…?何時、戻ってきたの?それより、今まで何処に…」 「何を云ってるの?変な椿ね。…それじゃあ、私は買い物に行って来るわね。直ぐに戻るから…待っていて……椿…」 「姉さん!?待って…行かないで…!」 微笑んでいた椿の姉は、か細い声になり、すぅ…と消えてしまった。 「姉さん…?姉さん!」 『椿……助け、て…』 「姉さん!?何処に居るの?如何したの!?」 『助けて…助けて…』 「姉さん…!あたし、如何したらいいの?如何したら、姉さんは助かるの…?ねぇ、姉さん…!」 『……貴方が、死ねばいいのよ』 「…え…?」 『ほら、死んで…椿…』 「姉、さん…?」 それまで姿のなかった姉・牡丹が目の前に現れる。 手に、刃物を、持って。 ゆっくりと椿に近づいてくる。 「い、いや……やめて…!」 椿は何故か動けなかった。 「私の可愛い妹…私を助けて…?……その命と引き換えに」 優しい声色。 だが、冷たくて。 刃物を振り翳す牡丹。 「い、いやぁぁ!!」 ・・・・・ 「椿ちゃーん?っと…寝てる……ん?」 「姉さん…やめ、て……!」 「椿ちゃん…。…夢に惑わされちゃ駄目だよ…」 優しい声色でブラウは言う。 そしてそっと椿の手を握った。 瞬間、椿が目を覚ました。 「っ…いやぁ!」
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