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「椿ちゃん!?落ち着いて…!」
「嫌…姉さん、やめて…!お願いだから、やめて…!!」
「椿ちゃん!…どんな夢だったか知らないけど、それは只の悪夢だ。所詮、夢は夢。大丈夫…傍に居るから……大丈夫だよ。ほら…ゆっくり呼吸をしたら…もう一度寝な?」
パニックに陥っている椿を安心させるため、ブラウは優しく椿を抱きしめる。
椿は徐々に我を取り戻していった。
「ブラ、ウ…?ごめん…ごめんね…」
「謝らなくていい。ほら、ゆっくりお休み?」
「…ありが、とう…」
再び目を閉じた椿を静かに横たわらせ、毛布をかけてやる。
願わくば、少女が見る夢が悪夢でないことを。
ブラウはそう思って部屋を出た。
部屋の外、ドアの前に座ってブラウは天を見上げていた。
・・・・・
『色々ごっちゃになっちゃってるんだろうな…いきなりこんな世界には飛ばされるし…魔法も、椿ちゃんだけまだ使えないし…。自分に対する嫌悪感と、お姉さんを心配する気持ち…全部混ざって、変な夢に魘されたり……ごめんな、椿ちゃん…。…怖い夢なんて見ない様に…今日は、俺がずっと…傍に居るから……』
五話。終了。
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