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六話【変わっていくモノ】
「どうです?ブラウは」
「とりとめ問題はないかと……ただ…どうもブラウの奴は、救世主に依存気味です」
「救世主に依存しているのは貴方もではありませんか?」
「あ、いや、俺は…」
クヴェレの執務室。
クヴェレとヴィオレットが話し合いをしていた。
皮肉めいたクヴェレの言葉にヴィオレットは苦笑いを浮かべることしかできなかった。
「冗談ですよ、ヴィオレット。貴方の救世主へ対する依存と…ブラウの救世主への依存は、明らかな違いがありますからね」
「…必要以上の馴れ合いは不必要だと、俺は思うんですが」
クヴェレは軽く笑う。
そして暫しの沈黙の後、ヴィオレットが言った。
「えぇ、その通りです。寧ろ、馴れ合いなど要りません……救世主には上辺だけで付き合ってればいいのですよ。…ヴィオレット、貴方にはもう一つ任務を与えます。ブラウの監視……些細な事かは私が決めます。貴方は、全てを私に報告してください。…判りましたね?」
「……クヴェレ殿の仰せのままに」
「優秀な部下が居て、私も助かりますよ」
皮肉っぽく、軽い笑いを交えてクヴェレは言った。
『相変わらず喰えない人だな……だが、んな事はどーでもいいんだ。…ブラウ…クヴェレ殿に目を付けられるなんて、厄介なんだぞ?判ってんのか?……判ってんだろ………皆、最後には…』
・・・・・
「あら、ゲルプじゃない。救世主サマの調子はどう?」
「あ、ロート!うん、由佳里、凄く頑張ってる。調合の失敗も、凄く減ったんだよ?」
錬金術連合。
ロートとゲルプがすれ違って声を掛け合う。
「そう。どっかの泣き虫な錬金術師より素質があるかもしれないわね」
「ぼ、僕は泣き虫じゃないもん!」
「誰も、あんたの事だ、なんて云ってないけど?でも、自分で自分をよーく、理解してんのねぇ?」
からかうようにロートは笑った。
う、とゲルプは言葉に詰まったが、何とか言葉を紡ぐ。
「……ロ、ロートのところの救世主はどうなのさ?」
「桜は優秀よ?少し教えただけで、直ぐに調合を覚えるし。まぁ…ちょっと上がり症なのが心配の種、なんだけどね」
「そういえば、桜君って、凄い上がり症だもんね~……由佳里はその点で云えば、冷静だし……ま、まぁ…ちょびーっと、冷静過ぎるかも…だけど…」
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