第1章

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「ま、救世主が皆おんなじ感じじゃつまんないし…相違点があるぐらいが丁度いいのかもね」 「それもそうかもね」 「…でも、救世主サマに、あんまり肩入れしない方がいいかもしれないわね」 不意にロートが冷静になる。 「え?何で??」 ゲルプは不思議そうに首を傾げた。 「……多分、だけど…救世主サマ達は皆、最後には…消されると思うから」 「消される…?それって、元の世界に帰される、って事じゃないの?」 「…あたしの考えとしては…違うわ。言葉のままの意味……つまり…殺される、って事…」 「えぇ!?そ、そんな…如何して…!!?」 「…多分、だけど……魔法協会は最悪、手柄を自分達の物にするつもりだと思う…。当然そうなれば…救世主は邪魔な存在と化す…」 ロートは言いにくそうに言う。 魔法協会ならやりかねない、と。 「そんな……そんなの、酷過ぎるよ…!僕等の世界の為に来て貰った救世主を消して、自分達の手柄に、なんて……魔法協会は、元からそのつもりだったって事!?そのつもりで、救世主を集めさせて……酷いよ…!!」 「ゲルプ、落ち着きなさい。これは、あくまでもあたしの予想でしかないんだから。…だから、救世主サマ達には絶対に云っちゃ駄目。あんたも、今まで通り接しなさい。出来るわね?ゲルプ…」 取り乱すゲルプにロートは優しく言う。 混乱させるのは故意じゃないから、と。 「…うん……判ったよ、ロート…ごめんね、取り乱して……大丈夫、だよね…きっと…」 「……あたし達が信じなきゃ、意味ないでしょ?…大丈夫、あたしの勘は良く外れるから」 「うん…そうだよね……僕、信じてる。……うん、だいじょーぶだいじょーぶっ!」 「…ホント、ゲルプったらお子ちゃまなんだから。冗談を真剣に受け取って、パニくったと思ったら、すーぐ元気になっちゃうし」 くすくす、とコロコロ変わるゲルプの様子にロートは笑った。 ゲルプはむっとして反論する。 「お、お子ちゃまなんかじゃないもん!大体、ロートが意地悪な事、云ったりするからじゃん!!」 「はいはい、悪かったわよ」 「ホント、ロートってば人をからかったりするのが好きなんだから…」 ゲルプはため息交じりに言う。 ロートはごめんごめん、と軽く笑うだけだった。
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