第1章

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『…ホントは、あたしの勘って、結構当たるのよね……多分、あたしの予想は…限りなく現実に近い……。教会に対抗する為に一時休戦を申し出たのも、救世主サマ達を集める様、提案したのも魔法協会……この世界では何処の派閥も、他の派閥より上にいこうと企んでいる…特に、クヴェレは対抗心が強く…魔法協会を統べる存在になろうとしてるとさえ聞いたし……全ての提案を、クヴェレが出してたとしたら………とんでもない策士だわ……ホントに、喰えない奴……』 ・・・・・ 「そう…じゃあ、波は結構お洒落なのね。クラスでは、人気が高いんじゃない?」 「そ、そんな事ないです…服とか靴とかを選ぶ時は、凄く真剣だ、とは云われた事ありますけど……お洒落って程じゃないですし、別にクラスで人気が高い訳でもないですし……由佳里さんのが、凄く…お洒落だと思います」 中庭。 由佳里と波が話をしていた。 同年代の女子同士おしゃれの話で盛り上がっているようだ。 「私は、お洒落じゃないわよ。好きな服を、好きな時に着てるだけだもの」 「それで、自分に似合ってて、ちゃんとコーディネート出来てるのは、凄いと思います」 「そう?…ありがとう。でも、波がお洒落なのも、本当よ?」 「あ、ありがとうございます……何だか、照れ臭いですね」 「そうね。でも、女の子同士じゃなきゃ出来ない話だし……こうして雑談して、肩の力を抜くのも、大事だと思うわ」 「それも、そうですね」 くすくすとお互い笑いながら話し合う。 そんな最中足音が聞こえてきた。 「波!此処に居たのか…探したんだぞ?」 「海!?あ、ごめん…私、何も云わずに来ちゃってたのよね……ちょっと、息抜きをしようと思ってたの…海を心配させるつもりはなかったのよ?」 足音の正体は海だった。 海は苛立ちを隠せない様子で波を見ていた。 「僕には、ちゃんと全部話せって云っただろ?…無事だったから今回は良いけど……ほら、帰ろう」 「え…?あ、あの…もうちょっと、いいでしょう?折角、由佳里さんと話す事も出来てるんだし…」 「駄目だ。話相手は僕が居れば充分だろ?波には、僕が居ればいいんだから。…ほら、帰るよ」 「ちょっと…双子の妹だから大事にしてるのは判るけど、波の意見も聞いてあげたらどうなの?大事に思ってる存在に、自分の意見だけを押し付けるなんて良くないわ」 海の苛立ちに火をつけてしまったのは由佳里だった。
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