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「っ…!黙れ!お前には関係ないって云ってんだろ!!」
ロートに言われ、過去を思い出したのかブラウは珍しく怒りをあらわにした。
ロートはそんなブラウを見てため息をつく。
「…あんたって、昔からホント変わらないわね」
「……とにかく、お前には関係ない。俺に是以上関わるな」
多少の冷静さを取り戻したブラウはそれだけ言い残し、立ち去った。
『…重症だわ。救世主様が、最後にはどうなるか…考える余裕すら持ててない。……ブラウ…あたしはただ…妹を失った時の苦しみや哀しみ…それをもう一度あんたに味わさせたくないだけなのに…』
・・・・・
「…冷たき守り神よ…我に力を授けたまえ……アイシクルレイン!」
無数の氷の刃が的に向かっていき。
「うん…大分慣れてきたかな…」
椿は少し安堵した様子で微笑んだ。
「…き…椿…」
「姉さん…!?姉さんでしょ!?ねぇ、今何処に…」
突如聞こえたか細い声。
だが椿が聞き間違える筈がない。
たった二人だけの家族なのだから。
「…私の事は…もう忘れて……帰るのよ、椿…」
「何を云ってるの!?あたしが姉さんを忘れられる訳ないじゃない!!」
丹「お願いだから、椿…元の世界へ……」
「姉さん!!行かないで!!」
「椿ちゃん?如何したの?そんな血相変えて…」
ドアを開けてブラウが入ってくると椿の様子に首を傾げていた。
「あ、ブラウ…今姉さんが…!」
少し慌てた様子の椿。
ブラウは尚も首を傾げた儘だ。
「お姉さん?いや、でも…」
「…取り乱してごめん。でも、本当に聞こえたの。私の事は忘れて元の世界へ帰りなさい、って…姉さんはそう云ってた…」
「…それを、お姉さんが?」
「え?あ、うん…それがどうかしたの?ブラウ?」
「ん?あぁ、いや…何でもないんだ。…椿ちゃんは、俺の妹によく似てるな…」
最後の方は苦笑交じりにブラウが言う。
椿は首を傾げた。
「俺の妹もさ、魔法がうまく使えないと悩んだりして…心配性でね。俺が遠征で帰りが遅かったりすると、凄く心配してて……」
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