第1章

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時刻は午後八時半。 私は澪からレイへと変身する。 この格好で外を歩いて澪だとばれることはまず、ない。 いつものグラブに向かう。 扉をあけるとこちらに手を振る小柄な女の子。 ―鈴華だ。 彼女はこのグラブで知り合った子だ。夜限定とはいえ唯一の友達だ。 「遅かったね、レイ。」 「うん…ちょっとね。」 当たり障りのない返事を返す。 “お互いのことは深く探索しない” ここにいるための暗黙のルールだ。 もちろん鈴華の名前以外の情報は一切知らないし、まず鈴華という名前だって本当かわからない。 鈴華だってきっと私の身の上なんて全く知らないだろう。
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