第4章

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結局その後は、終始街並みをブラついて時間を潰した。 盛り上がるわけでもない会話を続けながら、時折絡み付いて来る視線から逃げるように目を逸らす。 きまずい。 きまずいのに、沢部と会話をすればふとした時に夢の断片が脳裏をかすめてしまう。 それは同じ映像であったり、時に初めて見る映像だったり。 そんな時は決まって一瞬頭の中が真っ白になるものだから、 自分の異変がバレないよう取り繕い続けていると、いい加減疲れ切ってしまった。 夢の筈なのに、やたらとリアルで。 夢の筈なのに、ふと現実に起きた事なんじゃないかと錯覚してしまう。 おかしい。 もしこれが全て夢でなかったら、一体俺はどうすりゃいいんだ? いやいやいや、夢じゃない筈がねぇ。 夢じゃなかったら、困るんだよ。 これ以上どこかへ出掛ける気にもならず、ホテルに戻り中に入っているレストランで夕食をとる事に決めるが、 地上十五階にあるそこは変に雰囲気のある店で、入った瞬間に間違えたと後悔した。 なんでまた、このタイミングでこんな店に。 それでも、今更帰ることなんて出来ない。 運悪く窓際の席に通されてしまっても、そこに置かれている椅子に腰をおろすしか選択肢はなかった。
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