Neurose

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「お疲れさま、カイン。ほのかはどうかしら?」 林に話しかけられカインは、眼鏡に触れながら答えた。 「扱いやすいです。」 「そう…。司は扱いずらかったかしら?」 「そういう訳では…。司はまだオフですか?」 林は時計をチラリと見て答えた。 「司は今日から軽井沢に行ってるわ。」 林の顔を見上げ、カインは瞳を大きく見開いた。 「軽井沢…?」 「ええ。友達がいるそうなの。」 カインはパソコンの画面をパタンと閉じて立ち上がる。 「アイツ…どういうつもりで…」 「えっ?」 カインは無言で事務所から走り去る。 辺りを見渡し人気がない事を確認して瞬間移動で春井の別荘のそばに立つ。 「っ、くそっ!!」 カインは別荘の敷地内に入る事が出来ず周りを見回った。 「キョウカっ!!」 テラスに通じたピアノの部屋を心の目で覗いてもキョウカの姿は無い。 隣の寝室へと目を走らせ、足を止めた。 春井に両手首を押さえつけられ、怯えきった顔で春井を見上げるキョウカの姿を目の当たりにした。 「アイツっ!」 ごうごうと風が巻き起こり、怒りに身を任せ寝室にぶつけようと両手を振り上げたところを何者かに止められた。 振り返るカインの後ろに立っていたのは… 「アザゼル…?」 「お前がカインか。」 不敵に笑みを浮かべる堕天使アザゼル。 「邪魔するな!貴様には関係無い事だ!!」 「そんなハリケーン飛ばしたら、キョウカも吹き飛ぶぞ。」 「なんのつもりだ!邪魔するなら貴様も…」 「まあ、見てみろよ。」 顎で中を見ろと促すアザゼル。 心の目を走らせるカイン。 春井がキョウカの顎を掬い上げ、唇が触れる寸前で何かを呟いた。 「僕の事が好きなら…僕の愛しいキョウカに会わせてくれない?」 カインは怒りで瞳を真っ赤に燃やした。 「アイツ!まだキョウカを傷つけるつもりか?」 腕をアザゼルに掴まれる。 「貴様、邪魔するなっ!!キョウカの心が壊れる!」 ふっと笑うアザゼル。 「黙って見なよ。」
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