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キョウカが泣きながら春井を見つめている。
「っ…私じゃ、…ダメなんですか…。」
「ああ、僕のキョウカは君じゃない。」
目を伏せ、消え入りそうな声でキョウカが呟いた。
「貴方の為なら…私は…消えてもいい。みんなが…あのキョウカを、求めているから…私は、要らないんですよね…」
「キョウカっ!それは違う!!」
アザゼルの腕を振りほどき方陣が敷かれた別荘へと突っ込む。
身体中が白い炎に燃やされる。
炎と煙に包まれ魔法陣を突き進む。
「キョウカっ!お前を必要としてる人間は沢山いる!!バカな事を言うな、少なくとも俺は…っ!!」
キョウカは外から聞こえるカインの声に顔を上げる。
「カイン…カインっ?」
窓に映るカインは身体中を炎に包まれながらこちらに一歩ずつ向かって来る。
「キョウカ…、待ってろ…」
春井さんがふっと笑った気がした。
そして私の手首を掴む手から力が緩む。
「カインっ!!」
春井さんの手を振り切って窓に走り寄る。
窓を開け外へと飛び降りた。
まっすぐカインへと駆け寄り、カインの胸に飛び込んだ。
カインの身体は青白い炎に包まれ私にも燃え移る。
「っうぅっ!」
「キョウカ…」
突然目が開けていられない程の閃光が私とカインを包んだ。
カインが膝から崩れ、身体を支えて一緒に膝をつく。
「バっ…カ野郎…、無茶しやがって…」
カインはそのまま気を失ったように私に身体を預けた。
「カインっ!カイン!!」
誰かの気配に気づき顔を上げると、そこには一人の男が立っている。
「助けて…!カインを助けて!!」
銀髪の…眉間にホクロがある男が歩み寄る。
「君の大切な人?」
白っぽい大理石のような…不思議な色の瞳だった。
「はい…。私の…、大切な人です。」
柔らかい微笑みで頷くとカインに両手を向けた。
その人の手から緑色の光のシャワーが放たれ、カインは光に包まれた。
「キョウカ…、君は怪我してない?」
「はい、平気です。」
後ろから春井さんが私の肩に触れた。
「っ!」
「悪かったね、キョウカ。君には…幸せになって欲しいんだ。」
「えっ?」
「君に本当に必要なのは…僕じゃない。」
目を細め私を優しく見つめる春井さん。
「それじゃ…キョウカに会いたいって言ったのは…」
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