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誰かに頭を撫でてもらってる感触が気持ちよくて、目を開けたくない。
大きな手が頬に添えられ、柔らかい感触が唇を覆う。
「…ん…」
「キョウカ、時間だ。」
優しい低い声。
「私…まだお休みだもん…」
「ああ、だが俺は…行かなきゃいけないんだ。」
ゆっくり目を開ける。
「っ!?」
私、カインにしがみついたまま寝てたんだ。
手を離して恥ずかしさに顔を覆う。
「やっと離してくれるのか?」
「ごめん…」
また大きな手で頭を撫でられる。
「カイン、あのっ…もう、ずっとほのかの担当なの?」
首を傾げて私をじっと見つめるカインが口元を緩めた。
「ああ、そのつもりだが。どうしても俺がいいなら…」
「そ、そういう意味じゃなくて…、えっと…」
カインの指が頬を撫で回す。
「はっきり言わないとわからないんだが…」
「っ、な、なんでもないっ!もう、行って。」
ふっ、と笑いカインは触れるだけのキスをして姿を消した。
「バカ。」
昨日ほのかの背中に手を添えながら…私の前から去って行った光景を思い出してしまい頭を振った。
「あれ?」
首から下がってる筈のペンダントが無い事に気づく。
ベッドを探してもどこにもない。
あの顔…私の心、読んでたの?
「もーっ!」
恥ずかしさが込み上げる。
カインのバカ。
ベッドに潜り込むと、昨夜の事を思い出してしまう。
私カインと…。
重ねた唇、重なる肌と肌…。
頭を振って起き上がり寝室を出た。
熱いコーヒーでも飲んで、目を覚まそう。
窓の外に目をやると台風が来たのかという程に雨が窓を叩きつけていた。
風も相当強いみたいでごうごうと音がする。
カップにコーヒーを注ぎ、ソファに座りテレビをつけようとリモコンを掴むと、手にびりっと電流が流れてリモコンを落としてしまう。
静電気?
落ちたリモコンを拾うと雷が光った。
「きゃっ!」
あ、停電?
雨のせいで朝なのに暗い。
暫くするとパッと電気がついた。
雨足は強くなり、窓を叩く雨の音だけが部屋に広がる。
そしてまた雷の音がして激しく光った。
窓の外に目をやると…えっ?
「きゃあーっ!」
驚き過ぎてソファから落ちた。
窓の外、ベランダに雨に打たれた人が立っている。
ど、どうしよう…怖いっ!!
なんで?
ここ何階だっけ?
34階…、あり得ない!
このシチュエーション、前にもあったような…。
って事は…悪魔っ?
カインの友達…とか?
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