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「キョウカの目が覚める時に、俺がそばにいなければ…。」
キョウカの頬を指でなぞる。
「コカのヤツ…いつまでキョウカと遊んでる。」
苛立つ気持ちで改めて人差し指を額に添える。
夢じゃないから入れないのか…。
これはキョウカの意識か?
コカはどうして入れたんだ?
「キョウカ!」
突然病室の中に現れたシュウ。
「カイン、キョウカは?どうして倒れたの?テレビでは過労だって…」
「…心のバランスが崩れた。記憶と自分の本心が入り混じって…混乱している。」
「……カインは20年前のキョウカが好きなの?それとも、今のキョウカが好きなの?」
「両方だ。」
「キョウカが苦しんでるのって、20年前のキョウカと自分は違うって事じゃないの?」
優しくキョウカの手を握り、そして指を絡める。
「今のキョウカの心には…俺は映らない。どんなに愛してると伝えても…キョウカの心を動かす事は出来ない。」
「…それって、やっぱりアイツなの?キョウカはアイツの事を?」
「ああ。どんなに傷つけられても、本能的に惹かれるんだろうな…。」
大きなため息をつくシュウ。
「僕達がどんなに愛しても…アイツには敵わないって事?それはキョウカが今人間だから?確かあの時…キョウカがアイツのそばにいる事を拒絶した時言ってたよね?自分は人間じゃないから…って。」
カインはゆっくりシュウを見据えた。
「カインは…また待つって言うつもりなの?」
「……ああ。」
「そんな事してたらあの時みたいに…」
「シュウ、いいんだ。俺はキョウカが誰を愛そうと関係ない。俺の気持ちは変わらない。」
「それは…僕も同じだよ。でも…」
何かを言いかけて口を噤む。
「…んっ…」
「キョウカ…、キョウカ、目を開けろ。」
キョウカの瞼に力が入る。
まるで開けるのを怖がっているようだ。
「キョウカ、安心して戻って来い。」
力の入った瞼がパチパチと瞬きながらゆっくりと開く。
「…カイン…シュウ…、私…」
「ああ、大丈夫だ。仕事は暫く休みを取った。」
「休み…、でも次のドラマが…」
カインの大きな手が頭を撫でる。
「仕事なら俺がいくらでも取って来てやる。俺を誰だと思ってる?」
一瞬キョウカの目線は翳り、パッと見開く。
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