Neurose

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本当は目を閉じるのが怖かった。 またキョウカが来たらどうしようって…、また出口を探す為に真っ白な空間に閉じ込められたらどうしようって…不安が心を支配する。 看護師が部屋から去った瞬間目を開けようとしても…瞼が重くて…開かない。 イヤだ…、眠りたくない… 誰かの気配に目を開けた。 良かった…何も夢は見なかった。 「林…さん…」 「司…。良かった。」 優しい微笑みを向けてくれる林さん。 「何も心配要らないからね。」 枕の上で頷く。 「お父様の病院に問い合わせたら、お父様のご病気が奇跡的に回復して、今は快方に向かってるって聞いたわ。良かったね。」 「うん…」 カインのお陰だ。 「それとね…、私また司のマネージャーに戻れたから。」 「えっ?」 カイン…は? 「担当してた新人の子、カインと交代したから。」 「そう…なんだ。」 「それとね、ファンから沢山の励ましの言葉がホームページに届いてて、後で見せてあげるからね。」 林さんの穏やかな微笑みに安心する。 心の中のモヤモヤが晴れる事はないけど…別の事を考える事が出来る。 「あともう一つ…、昨日事務所に貴女のお見舞いに来たいって問い合わせがあったの。誰だと思う?」 首を傾げ、少し考えたけど答えが出なくて首を振った。 「司が会いたくないなら断るから、はっきり言ってね。」 「うん…、誰?」 「春井龍司…」 「えっ?」 身体が驚いて勝手に起き上がる。 「断ってもいいからね。あんな酷い事言われたばかりなんだから、本当は私の一存で…」 「会いたいっ!!」 「司…、いいの?また傷つけられるかもしれないのに…。」 「話したいの!ちゃんと話したいの。」 春井さんが…会いに来てくれる…私に!! 胸の高鳴りが一層早まる。
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