第1章

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「ここの水ようかんは、多くの歌舞伎役者さんも愛した味なんだよ。」シンディさんはそう言って、買い求めた。製造した翌日までの命、というが、帰ってすぐ食べちゃうんだろうな?この人。 むらさきやの水ようかんは、みずみずしく、滑らかな舌触りで、とろりもっちり、小豆が立ち、甘すぎず、すっきりとした後味。でも、1本2160円…。(あ?一人で、食べきってしまいたい。誰か?まっと買ってちょ?!そうだ、作ろう!) 『レシピ』(材料)こしあん…100g/水…550g/粉末寒天…10g 1. ぐつぐつ、寒天を煮る、さらに沸騰してから1分煮る。 2.こしあんを、溶かす。 4. 型にはめ、冷やす。 (大人の恋の味?)436イイネ 【まっぺん、きしめんで盛りたてんとね?】 里香は、坂角のゆかり(堅焼きのえびせんべい)をばりばりと食べながら、不倫ドラマを見ては、そっと溜息をついた。 というのも、台湾ラーメンの一件以来、シンディさんとはぎくしゃくし、水ようかんを買いに行っても、いそいそと帰ってしまった。 (次は、何をすれば…)そこで、里香は、熱田神宮に参拝し、これからのFBについて祈願することにした。勿論、帰りには、宮きしめんを食べ忘れずに…。 緑の静寂に包まれた境内。ふと(そういえば、昔ひつまぶしで有名な蓬莱は、ここにあったのよね。)終戦直後の境内は闇市の名残で、お土産物屋や食べ物屋が軒を連ねていた。 それが、猥雑としながらも魅力的な町を形成していた感は否めない。子供ごころには、正月のお参りより、そちらのほうが楽しみであった。ほんの数十年前のこと。(あれが残っていれば、伊勢神宮のおかげ横丁のように、この街も違った発展を見せたかもしれない…。) 境内で唯一営業の許された、宮きしめんで、家康が考案したという‘きしめん’すすりながら、里香はそう思った。(家康が、名古屋城築城の際、人々に食事を提供する時、麺のゆで時間を短くするためうどんを平たくしたという説が有る) 『レシピ』(材料)アジやサバ節のだし汁…500g/きしめん…一袋/かまぼこ・葱・鰹節・七味少々 1. だし汁を熱し、温めたきしめんを入れ、トッピングを乗せる。 (つるんとした舌触りの、きしめん)532いいね 【た?けっ(戯け)、ひつまぶし】(熱田 蓬莱) (シンディさん、私、もっとやります!) 今日、熱田神宮でお参りした時、そう誓った。
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