『白鬼』

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「めーざす先は、空なりてー枝張り伸ばしー手を伸ばし~つかーむ先は真実か~」  社に背を向けて私は歌う。 「おーにさん、こちら、手の鳴る方へ~」  手はまだ鳴らせないけども、いつか鳴らしたときに来てくれるかしら。 「お毬、はよ行くよー」 「はい、お婆さん」  それまでは、こちらで精一杯生きて見せるわ。  だから簪はそれまで大事に預かっておく。勝手に取り返しに来ないでね。
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