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あたしと純。
「じゅーん!学校行くよ?」
あたし、高梨那由はイトコ兼、隣人の笹原純を迎えに来ている。
まぁ歩いて一分もかからないけど。
「じゅーんー」
「・・・・・・那由、うるさい」
ボサボサの髪と、無駄に高い身長。
・・・・・・年下のくせに。
じゃない。うん。こいつは純だ。
「うるさいじゃない!純がゆっくりしてるとあたしが遅刻になっちゃうでしょ?」
「別に、おいていっていい」
「・・・・・・可愛くない」
「そりゃどーも」
とにかく早く準備して、と言うと純は家の中に戻った。
「あれっ、那由ちゃん。また純くん?」
「実花さん!・・・・・・今準備中みたいで」
実花さんは純と同じテニス部に入っている先輩。
近所に住んでいて、とても綺麗な先輩だ。
「純くん朝弱いんだねぇ。いつもしっかりしてるから想像つかないかも」
そう言うとくすっっと笑う。
「あっ実花さん、おはよーございます!」
「おはよう、純くん」
実花さんに爽やかな笑顔を向ける男子高校生。
・・・・・・笹原純。
たまに本当に純なのか疑いたくなる時がある。
本当に純だけど。
「純くん?那由ちゃんにあんまり迷惑かけちゃダメだよ?」
「すみません・・・・・・。どーも朝は弱くって。那由さんのおかげで遅刻しないですみます」
「朝眠いのは分かるけど、頑張らなくちゃだよ?じゃぁね」
パタパタと走っていく実花さんを見ながらあたしは呟いた。
「猫かぶり」
「るっせー。那由には関係ねぇだろ」
「あたし先輩なんだけど!?さん、は?」
「はぁ?」
むっ・・・・・・。
猫かぶってる時は「那由さん」のくせに素になった途端「那由」だもん。
あたしの方が先輩なのにっ。
「メンドくせーっ」
「あんたねぇ・・・・・・!」
「那由、純くん、おっはよーん」
「百合ーぃおはよう!」
「おはようございます。百合さん」
来た。“猫・笹原純”。
「なになに?朝から喧嘩かい?」
「そんなんじゃないですよー。ねっ那由さん」
『絶対言うなよ。言ったらどうなるか分かるよな?』って目がいってるんですけど!
怖いんですけど!
「う、うん。ソウダネー・・・・・・アハハ・・・・・・」
恐怖のあまりカタゴトになっちゃったけど、大丈夫、だよね・・・・・・?
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