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全身がプルプル震えながらも、私はワイングラスを持ってそのまま立ち上がり......
ーーーパシャッ!
透明に近い淡いゴールドの液体、白ワインを要さんの顔面にぶっかけた。
「ふざけないでよっ! このクソオヤジ!」
罵声を発した私を、要さんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔で見つめる。
「チッ」と舌打ちした私は、踵を返して個室を出ていこうとすれば
「あ、晶っーーー!」
背後に聞こえる要さんの声。
振り返らずに、私は最も低い声を出す。
「私の名前、二度と呼ばないで! 福岡でも、アラスカでも何処にでも行けばいいでしょっ!」
そう叫んで、個室を出た私はヒールをカツカツと高らかな音を鳴らして、大股で凄い勢いで歩いていく。
出口に向かうけど、視界が滲んで...
視界が滲むのは、私の頬からポロポロと勝手に流れる温かい水滴の所為だ。
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