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要さんも、結局は他の男たちとなんら変わりが無いんだと思ったら、悔しさと失望が襲って私は俯き下唇を噛んだ。
ひたすら出口に向かって歩いていたのだけど、私は俯いて歩いた所為で前をよく見ていなかった。
前から歩いて来た男女がいる事に気づかなくて、
すれ違いざまに
トンッーーと軽く、私の肩が男性の身体に触れた。
「すっ...すみませんっ!」
慌てて顔を上げながら言うと、男性が「いえ、大丈夫ですよ...」と返してきたのだが、その声はどこか聞き覚えがあった。
ーーーあ.....
顔を上げた私を上から見つめる男性。
その男性の声、聞き覚えがあるはずだ。
だって私が数時間前に会社で受付カウンターで会ったヒト
須賀 真白だったのだから。
やばいっーーー!
咄嗟にそう思ったけど、数時間前に受付嬢の私をジっと見ていた須賀 真白。
でも今は私の顔を見ても表情を変えずに、スッと私から目を逸らした。
そして、そのまま何もなかったように連れの女性と歩き出す。
あ、私の事を覚えてないんだ。
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