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きっと、須賀 真白は要さんが私を追いかけていると気づいたのだろう。
須賀 真白と目が合うのを避けたいと思った私は、慌てて前を向きなおして急ぎ足で出口に向かった。
要さんは......
出口に向かってそのまま歩き出した私を後ろずっと見ていたのだと思う。
だけど要さんは……もう私の名前を呼ばなかったし
ーーーー追いかけて来ることもなかった。
そりゃあ、そうでしょうねと、私は自嘲する笑みをこぼす。
私に白ワインをぶっかけられた要さんが、追いかけようとして呼びとめた矢先。目の前に取引先の人が現れたのだ。
要さんが取引先の人を無視して、不恰好な真似を晒して、私を追いかけるなんて……そんな事をするハズがない。
そんな事、わかっているから。
私は追いかけてこないってホッとした。
ホッとしたクセに....涙が溢れて止まらなかった。
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