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「ごほ、ごほ……な、なんで…」
噎せて涙目で母を見る。
「わかりやすいのよ。デートだって言ってたのに、早々と帰ってきて……泣いたって丸分かり」
母は苦笑いをしているクセに、歯に衣を着せない人だ。
「で、またフラれたの?」
ほら、直球で私に聞いてくるし。
「違う! 私が振ったのっ!」
またフラれたのって、失礼な事をハッキリ言う母にムスっとした私は、箸で肉じゃがのジャガイモをブスリと刺して。
「二股しようとする……オンナを馬鹿にする男だったから、私が振ったの!」
パクッと肉じゃがのジャガイモにかじりついた。
「あー、そんな男、ダメだわっ! 晶、あんた、その男の事、振って良かったんだよ」
ケラケラと愉快そうに笑う母は「はい、コレ」と何かを握りしめて、私に手を差し出す。
「なに……? コレ……」
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