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ーーーお父さんが出て行って、母は必死で働いた。その間、私は保育園に預けられた。
私を迎えに来て、母は私にキャンディをくれた。
私はキャンディを食べながら『今日はいいことがあったよ』と笑うと、母は微笑みながら『明日もいいことがあるといいね』と言ってくれた。
母は私が寂しがっている事もわかっていて、元気になるようにと必ずキャンディをくれていた。
だから小料理屋を開いた時『飴玉』という名前にしたのも、私が元気で笑えるようにっていう意味だって事、わかってる。
今だって、失恋した私を慰めてくれる為に、キャンディを渡してくれたから、母の優しさが嬉しくて泣きそうになった。
そうだよね。お母さんの言う通り、要さんと別れて良かったんだよね....
これで良かったんだって...そう思う事にした。
そう思う事にしたら、悲しい気持ちはまだあるけど、少し薄れていくような気がした。
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