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まだ沙耶ちゃんを諦めてないかもしれないって、依代ちゃんに言われると私の心の奥、何かがちょっとだけ詰まった気がした。
だから、私は少しだけ目を伏せてしまったのに、依代ちゃんは、興奮が収まらないようだった。
「もし、仮に諦めたとして、沙耶ちゃんって子に乗り換えられなかったってわかったら、あーゆーおっさんは途端に方向転換するハズよっ! あの手この手で晶にヨリを戻そうとして来るに決まってる! 晶! それ、わかってる?」
「え?あ、はい」
依代ちゃんの有無を言わさない勢いに驚いて顔をあげた。
「でも、依代ちゃん。要さんは...ヨリを戻したいって、言わないと思うけど……」
そう言って、自分で否定したのに、何故か気持ちを無理矢理に押し込めているような気がした。
そんな私の心の揺れを、依代ちゃん気づいたのか?
「いや、絶対に晶はわかってないわ」
私から視線を外さずに、呆れたような声で言い放った。
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