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私の顔をジッと見る要さんに私は業務上の笑顔。とびきりの作り笑いで要さんに会釈をする。
私の会釈に反応した要さんは一瞬だけ眉間に皺を寄せる。
一瞬だけ忌々しいような表情を見せたクセに。
それなのに要さんは...私から目を逸らさない。
私を射抜くように見つめる要さんの視線。
その視線は苛立ちの色を見せてーーーーー私に絡みつく。
絡みつく視線から逃れるように、私は要さんから目を逸らせば、沙耶ちゃんが要さんに気づいた。
沙耶ちゃんが微笑んで要さんに会釈をすれば、要さんは沙耶ちゃんに少しだけ笑みを見せて会釈を返した。
そしてその後の要さんーーーーもう私を見つめる事はなかった。
一瞥する事すらなくて。何もなかったような顔で前を見る要さんは、颯爽と歩いてエントランスを抜けていく。
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