action 2

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「黒田課長が外勤って...珍しいですね」 沙耶ちゃんがそう呟くように言ったから、私は「そうね...」と淡々と切り返した。 沙耶ちゃんはもう視線を要さんに向けていなかった。 真っ直ぐに前を見つめていて。 私は可愛らしい彼女の横顔を見つめる。 ーーーさっき、要さんは沙耶に微笑んでいた。 その光景を思い出せば、ジクっとした小さな痛みが湧き上がった。 湧き上がった痛みは、ジクジクと広がって。 痛いと声に出せない私は 「沙耶ちゃん...」 と言いかけてーーーやめた。 聞いてどうする。 もう吹っ切れたはずなのだから、あえて傷口を、せっかく出来た瘡蓋(かさぶた)を剥がす必要なんて、何処にもない。 ジクジクした痛みを大きくする必要はないんだと言い聞かせる。 そして私は取り繕ったような作り笑いを沙耶ちゃんに向ける 「なんでもないの」ーーーーと。
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