action 2

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私の顔を見た沙耶ちゃんは何か言いたげな顔をしたが、私は顔を背けるように視線を前に向けた。 真っ直ぐに前を向く私は受付嬢として微笑みを称え、自社社員達がエントランスを通っていく姿を見つめていたのだけど 「晶さん...」 と、沙耶ちゃんは小さな声で私の名を呼ぶ。 「何?」 私は沙耶ちゃんに振り返る事なく、視線を前に向けたまま聞き返す。 「実は私も...晶さんに聞いて欲しい事があるんです」 「え...?」 「黒田課長の事とか....色々、相談に乗って欲しいんです」 黒田課長ーーー要さんの事? それは無意識だった。 私は沙耶ちゃんの方を振り向いてしまったのは 無意識でーーー 少し恥ずかしそうに頬を赤らめる、その表情を見てしまった私は 瘡蓋(かさぶた)がジワリと剥がされていくーーーそう思った。 ジクジクした痛みが、更にジクジクと痛くなっていくようなーーーーそんな痛みの中で 「そう...じゃあ、飲みに行った時に聞くね」 沙耶ちゃんに微笑んだ私は、上手く笑えてたのかな?と思った。
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