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「ええ。そうです」
と、一目でわかる高級な黒いスーツを着た須賀 真白は柔らかい笑みを浮かべて、私の問いかけに答える。
上品さを醸し出し、洗練されたイメージで話す須賀 真白は仕事が出来るビジネスマンそのもので。
その姿をみて、私は思った。
要さんに別れを告げたあの日。
須賀 真白は私と会った事なんて覚えてない。
いや、元々私の顔すら、覚えてないから、こうやってビジネスモードを崩さずに、私と会話をしているのだ。
そう思った私は、少しホッとした。
「わかりました。少々お待ちください」
と、言って如月先輩に内線電話で連絡をしようと受話器を取った。
すると笹島様が思いがけない言葉を放つ。
「この間、どうも。まさか、あんなところでお会いするとは思いませんでした」
ーーーえ?
私は驚いて笹島様の顔を見る。
でも笹島様は私を見て言ったのではなくて
「黒田課長とご一緒のところを、お邪魔して申し訳なかったですね」
沙耶ちゃんに向かって話していた。
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