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黒田課長...要さんと沙耶ちゃんが一緒にいた?
「いえ、そんなことはないです」
「いや、ホントに驚きました。まさか貴女が黒田課長の恋人だったとは......」
少しはにかんだ笑みをみせる沙耶ちゃんと、笹島様の会話。
それって、要さんが沙耶ちゃんを恋人だと、笹島様に紹介したって事だよね?
この時の私の顔、すごく驚いた顔をしていたのだと思う。
だって、私の視線に気づいた沙耶ちゃんは
「この間、黒田課長と一緒に食事をしたんです」
少し困ったような笑みを浮かべていた。
「詳しい話は、また後で...」
「あ、うん......」
来客者の前だというのに、『うん』って返事をした私は、動揺してしまっているのだとわかった。
それに、私の指先は小刻みに震えていて。
震えが止まらない。
私はそれを隠したくて。小さく息を吐いて、一呼吸をする。
それから、広報課の内線番号を、まだ震える指先でプッシュした。
「ーーー如月さんをお願いします」
必死に平常心を保とうとして、絞り出した私の声ーーー少し、掠れた声だった。
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