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金曜日の夜。
仕事を終えて向かった先は、和食ダイニングバー。
旬野菜を提供し、味に定評のあるこのお店の個室に足を踏み入れるとーーー
「晶ぁ! 元気だったぁ?」
眼鏡をかけた知性溢れる美人が、私に微笑む。
「うん。元気だったよ。蓮花ちゃんも、元気だった?」
私も微笑み返す。
広い個室。ロングテーブルの右端に、女子が三人、固まって座っていたのだが、久しぶりに会った蓮花ちゃんの横に座っている女の子が、椅子から立ち上がる。
「お久しぶりです。今日は無理を言ってすみません」
丁寧に頭を下げる彼女に、私は微笑む。
「そんなことないよ。私は楽しみにしていたんだもの。久遠ちゃん、頭を上げて」
私がそう言うと、久遠ちゃんの向かいに座っていた依代ちゃんがクスクス笑う。
「そうだよ。晶にとっては、ラッキーだったよね?」
「ラッキーって事では…」
私が言いかけると、それを遮るように
「依代ちゃんから聞いたよ。晶、色々あったんだってね。今日は飲み会って事で、楽しもう。ね?」
蓮花ちゃんが柔らかく笑った。
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