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久遠ちゃんが「どうぞ」と個室に入るように促す。
真っ先に入ってきた男子は、「え? 俺から?」と言いながら、私達を見る。
「こんにちは。いや、こんばんはですね」
と爽やかボイスで、柔らかい笑みを見せた。
「ほら。お前ら、早く入れよ」
個室のドアに隠れて、姿が見えない人の声。
ーーあれ?
何処か聞き覚えのあるような……
そう思っていたら、次々と入ってきたのは、男子二人。
理知的な男子と、もう一人は……
スーツ姿に赤いマフラーで口元を覆っていた。
私達は、あまりの奇抜な出で立ちの彼に呆気にとられていると、私達の視線に気づいたのか?
マフラーに覆われていない瞳は恥ずかしそうに、チラッと私達を見た。
そんな彼に目を奪われていたから、ドアの向こうにいた人が入ってきたことに、一瞬、気づくのが遅れたのだけど
「あれ?」
と言った依代ちゃんの声で、私はその人を見た。
『「え? 嘘?!」』
と言った依代ちゃんの声。
私の心の声と重なっていた。
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