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君と僕は『友達』というカテゴリーの中で、いつも一定の距離で、気の知れた仲間達と騒がしく青春をしていたね。
君がその仲間内で、誰とも恋に発展しないのは、きっと他に好きな人が居るからだと……
根拠のない噂が、まことしやかに蔓延っても、誰も君に本当の事を聞けなかったよね。
辛い恋をしているだなんて
思いもしなくて…………
いつも笑っている君が、不意に見せた冷たい涙に、僕は見えない彼に怒りを抱いて、そして……嫉妬していたんだ。
どうして、僕じゃないの?
どうして、僕じゃダメなの?
そんな思いをずっと抱えていても、何も変わらずにいたのは、今の距離を壊すのが怖くて
『友達』のカテゴリーから外れてしまったら、君が何処かへ消えてしまいそうな気がして
僕はいつも、君の冷たい涙を拭いてあげることしか出来なかったんだ。
あの夏の日まではーーーーー
いつもの仲間内で行った夏の遊園地
夕闇が迫って、薄いピンクや紫の空が、端っ子の方に追いやられ、キラキラと光るイルミネーションが眩しくなる時間。
君は、いつもより、はしゃいでいたね。
前の夜、一晩中僕の胸の中で、子供のように泣きじゃくっていた君とは別人のように。
どんなに冷たい涙を流しても、君の口から出てくる言葉は、いつも痛いほどの前向きで、その恋を選んだ自分を奮い立たせていたのに……
どんな時でも強がって、明るく振る舞う君だったのに……
「もう……限界かも……」
はじめて聞いた本音。
だから、僕は言ってしまったんだ。
イルミネーションを見下ろしながら、上下に舞う飛行機の中で
君を後ろから抱き締めながら
「僕じゃダメ?」
はじめて言った僕の本音。
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