第1章

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「パパぁ、もう終わったよ~。お手て放して!」 姫の声に、ふと、抱き締めていた手を緩める。 先に降りた僕は、まだ少し遠い記憶の中に居るようで、苦笑しながら乗り物から姫を出そうと手を伸ばした。 小さな手が、僕の手を掴んだ時 「ありがとね……」 懐かしい声が、夜風と共に耳元を掠める 君は、幸せに暮らしている? 君は、もう泣いていない? 君は…… 思わず姫を抱き上げ、顔を見られないように抱き締めた 「パパ、苦しいっ!」 無邪気な姫の声に、温かい涙が頬をつたう。 「さぁ~帰ろっか。ママが待ってる」 きっと、幸せに暮らしている 温かい涙を流して笑っている 「愛してたよ……」 あの時、言えなかった言葉 漆黒の空に溶けるように、呟いた叶わぬ思い。 君に届けと…… Fin.
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