目標

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 今日も朝から目覚ましが騒ぎ出す。時間は7時、私は軽く朝食を済ませ会社に行く準備を始めた。  少し皺のよった紺色のスーツを着込み、鏡を見ながらネクタイの位置を整える。昨日磨いたばかりの革靴を丁寧に履き、玄関のドアノブに手をかける。すると今起きだして来たのか、私の妻が眠そうに眼を擦りながら玄関の前を通りすぎた。  妻はまだ完全に開かない目で私を見ながら「いってらっしゃい」と冷たい声をだす。私は妻に満面の笑みを浮かべながら「朝ごはん作っておいたよ、行ってきます」と、言って家を出た。  会社は歩いていける位置にあるが、私は人生の目標を達成する一環として、自家用車を使い決して歩かない。  会社につくと、上司が近づいてきて私に仕事を押し付けてきた。明らかに私が手を出す範囲ではないのだが、上司に任されたからには断るわけにはいかない。  私は「頑張らせて頂きます!」と、笑顔で答えた。上司はそんな私を見て「君はいつも元気が良くて気持ちいいな」と、そのまま自分の席に戻っていく。  私は自分の仕事と押し付けられた仕事を淡々と片付けた。
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