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今の会社に就職する前の話。私は鬱病にかかっていた。仕事もせず親か仕送りを貰い、目標もなく毎日引きこもってかろうじて生きていた。
そんな日々がいくらか続いたある日の事。唯一仲良くしていた友人が死んだとの知らせを受けた。私は悲しみに暮れ、なおさら人生に絶望した。
友人はとても才能溢れる男で、よく私に「俺はいつか海外で俳優になりたい」と、人生の目標を語っていた。
そんな男が何故死んで、何故私が生きていなければならない。
悲しみに暮れながら、私は友人の葬式に顔をだした。外に出るのは嫌であったが、最後に友人の顔を見たかったのだ。
棺桶の小窓を開け、アクリル板ごしに友人の死に顔を見る。死に化粧を施された顔は、ただ眠っているだけかのように錯覚させた。
だが、鼻に脱脂綿が詰められているのを見ると、やはり悲しくなる。
じっと友人の死に顔を見ていたその時、私は気づいた。
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