第二章 別れは,はじまりのために

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「荷物を引き上げて行きます」  裏に回ると、 和弥は自分の荷物を車に乗せ始めた。 東雲も手伝って荷物を運んだが、 途中で涙が落ちた。 あちこちに流々の思い出が残っている。 今にも、 流々が出てきそうだった。 和弥にも東雲にも、 短い期間だったが、 グリーンは忘れられない土地になった。  荷物を全て積み終わり、 和弥は、別れの挨拶をする為に店の正面に行った。  流々の父親が、配達から帰ってきた所で、 和弥を見ると顔を背けた。 和弥が、短く礼を言い去ろうとすると、 声がした。 「昼飯、食べてゆけ」  和弥は断ろうとしたが、 店の中から奈々子も出てきて何度もお願いされた。
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