第二章 別れは,はじまりのために

9/20
前へ
/330ページ
次へ
「和弥君が来てからの流々は、 本当に輝いていた。 こんな事になってしまっても、 その事は忘れないでね。 流々は、和弥君の世界に出会って、 その世界に憧れて、 少しでも近付きたくて旅に出た……」  旅からいつか帰ってくると、 奈々子は泣いた。 「お願い、 又、遊びに来てね」  奈々子は、 去って行く和弥と東雲を、 ずっと手を振って見送ってくれた。  和弥は、木村ベーカリーを後にすると、 暫くは東雲の寮の部屋に泊まる事にした。 東雲の計算によると、 次の出現は三年近く後だった。 それまでに、 生命体だけで出現できる方法を見つけ出さなくてはならない。  和弥は、 東雲の部屋に布団のみ入れると、 窓からグリーンを眺めた。 緑の星、 ここで流々と出会った。
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加