第二章 別れは,はじまりのために

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「ゼロでは無い、 可能性に賭けているのですね」  瀬戸内が淡々と、 しかものんびりと和弥を捕まえた。  和弥は、 宇宙服のまま、情報局の巨大な宇宙船を歩いていたが、 瀬戸内の方から見つけてくれて助かった。 あまりに巨大だったので、実は迷子になっていたのだ。 「瀬戸内室長」  後で知ったのだが、 やはり瀬戸内はこの巨大な情報局の上層部の人物だった。 役所勤めが向いていないらしく、 ふらりと消える有名な人物だが、 ほぼ全ての機材の設計に係わっていた。 和弥も東雲も、 情報局で働かないかと誘われていたが、 研究を捨てられないでいた。 「元気そうですね。 先程、出現の物質を拝見しました。 よく、あんな変な物質を探してきますね。 感心します」  瀬戸内は、にこにことしていた。 和弥は、 物質の情報を瀬戸内には渡していなかったので、 瀬戸内が独自で情報を入手していたのだろう。 瀬戸内は、興味がある事に関しては、 神業のように情報を入手する。 「確率を上げるためです」
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