第二章 別れは,はじまりのために

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 東雲の指が動き、 ポケットから手帳を取り出した。 何か、数式を書いてぶつぶつと呟き、 ピタリと止まった。 「可能だな」  電磁的に重力が変わる事も可能らしい。 和弥はふと可笑しくなった。 他の人が、バカだと揶揄する状況も、 東雲には数式で解明できる事柄なのかもしれない。  即答する頭脳。 和弥が、惚れこんだ東雲がそこに居る。 惚れ込んだ相手でなければ、 和弥は、 データも体も渡さなかっただろう。 「座って見ているのは、苦痛だな。行くか?」  和弥が、 行って研究してくるか?と問いかけると、 珍しく東雲も笑った。 「そうだな。俺も、数式には飽きてきた。 現場で考えようか。 俺達は重力の減少で筋力が衰える事もない。 そう進化したが、 まだまだ人間には重力が必要だからな」
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