第一章 始まり

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 宇宙船が飛び立ち、 高級別荘地もあるグリーンだが、 その売りは自然。 空港を一歩出ると、 長く伸びる道路が真っ直ぐに、 山まで伸びていた。 山に伸びる道は、 ゆるやかな勾配を保ち、 見える限り登り坂になっていた。 しかも、 商店どころか民家さえも無く、 両側には終わりの見えない、 樹海のような森が広がっていた。  和弥が、 腕の骨を折っていると伝えると、 レンタカー屋はきっぱりと車のレンタルを断ってきた。 成長段階にあるとして、 骨が付くのをひたすら待つしかない原始的な治療方法を恨むしかない。 宇宙船に乗せて運んできた自転車に、 和弥は荷物をくくりつけた。 両側と後ろに荷物が載せられた自転車は、 快晴の空の下、 ゆっくりと進み出した。
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