第1章

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八話【教会襲撃】 「…我らが主よ…」 祈りを捧げ終えると立ち上がり、十字架を見つめるヴィント。 「…こんなんにされちまって、可哀相にな…カミサマ」 磔にされた少女に語り掛けるかのようにヴィントは哀しげに言う。 其処へ―― 「おぉ、ヴィント。此処に居ましたか…」 モーントがやってきた。 「…モーント様…どうしました?」 十字架に背を向け、一礼をして礼儀正しくヴィントはモーントに問う。 「是から客人が来られると聞いたのでね…多分、魔法協会や錬金術連合の者でしょう…」 「そうですか……では俺…いえ、私の出番でしょうか?」 「いいえ、ヴィント…殺生は好みません……故に、丁重にお帰り頂く様、お話をしておいて下さい」 「……承知しました、モーント様」 何処か残念そうにしながらヴィントが出ていく。 だが口角は上がっていた。 「…神よ……我らが主よ……貴方は必ず守ってみせます…ご安心下さい…」 一人残ったモーントは十字架の磔の少女へ祈りを捧げていた――。 ・・・・・ 「椿ちゃーん♪調子は如何?」 「特別何かある訳じゃないけど?…まぁ、普通、かな」 「そっか…良かった」 明るい様子のブラウは椿の様子に安堵し、微笑んだ。 瞬間、ごんっ、と鈍い音がした。 「いってー…!」 「あら、ごっめんねぇ?まさか、今から殴りこみ…じゃなかった、教会へ行くっていうのに、ラブラブしてる奴等が居るなんて思わなくって~」 ブラウに当たったのは錬金術の本だったようだ。 当てたのは、ロートだ。 ロートはわざとらしく謝罪なんてして見せた。 「ロート…てめぇ…!大体、誰がラブラブしてんだよ!!」 「あらやだ。自覚症状なし?かっわいそー……其処まで鈍いのね、ブラウってば」 怒っているブラウにロートはわざとらしく大げさに驚いて見せる。 「うるせぇっ!自覚症状云々の話じゃねーだろ!!」 ブラウは尚も怒りながらロートに言った。
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