第1章

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『…皆、平然を装ってるけど…やっぱり何処か辛そう…。…ううん、辛いんじゃない…怖いんだわ、きっと……だって、少しだけど…皆震えてる……。あたしだって…普通、って云ったけど…でも本当は怖い……あたし達で本当に何とかなるの?相手は神様なんでしょ?あたし達なんかが…敵うの?……こんなに不安になってたら駄目だよね。しっかりしなくちゃ……覚悟は決めてきたんだから』 ・・・・・ 暫くすると暗雲立ち込める教会へと到着する一向。 「…此処、怖い……僕、ヤだ…此処、嫌い……」 ゲルプは怯えているかのように震えていた。 「大丈夫よ、ゲルプ。独りじゃないんだもの…皆居るから……そんなに怯えないで」 「由佳里……うん、そうだよね………僕、頑張る!」 「…そうしてる方が、ゲルプらしいわ。大丈夫よ。ね?」 「うん!僕、大丈夫!皆も居るし…何より、由佳里が傍に居てくれるからっ!!」 「…えぇ、私は傍に居るわ。大丈夫」 由佳里の優しい声と口調に癒されたのか、ゲルプは明るさを取り戻していた。 由佳里は自分の微かな震えを気付かれない様に必死だった。 気付かれればゲルプに、いや、皆に迷惑を、心配をかける。 それだけは由佳里は避けたかった。 だからこそ、平常心を保っていた。 「…此処が教会、なんだね……何だか私達の世界にある教会とは違う感じ…暗くて……何だか、怖い感じがする…」 波はかすかに声が震えていた。 自分たちの世界の教会は清楚なイメージだったが、此処は暗雲立ち込めていて暗い。 嫌な感じのする教会だった。 「波、大丈夫だよ。波だけは…何があっても、僕が守るから。…あ、いや、勿論、皆にも協力はするけど…」 「…有難う、海…。……でも、海、変わったね」 「え?そ、そう…かな?」 「うん。だって、私以外の人の事も考える様になったし…でも、そんな海のが…私は好きだな」 照れ臭そうにする海に波は微笑んだ。 時分だけを思ってくれていた海も嫌いじゃなかった。 だけど今の皆を考えてくれる海のが、もっと好きだと波は思っていた。 「…僕は、ずっと波だけ居ればいいと思ってた。でも…それは僕のエゴだったんだよね。僕の感情だけで、波を縛ってた……そう、気付いたんだ。気付かせてくれたのは…由佳里とか…此処に居る人達だし……だから、その…」
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