第1章

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「普通に話して貰って構いませんよ。俺もそうしますから。…神様は奥に居ますが…モーント様に、皆を丁重に持て成しする様承ってるもので」 「…茶菓子は出るんすか?」 張りつめた空気の中、ヴィオレットは精一杯笑って見せた。 「お茶菓子は出ないけど…代わりに是をどうぞ?…御許に仕える事をお許し下さい…その御身の力にて、穢れを浄化する事を許し賜え…」 ヴィントが声を紡ぎ始めると、暗い教会内に光が集結し始めた。 「不味い!…風よ…その力、今我に授けん……緩やかに包み込み、我らを救う力を…」 ブラウが慌てて呪文を口にする。 「奏で、聴け、神の歌声……プレリュード」 「今こそ力を……ウィンドブロック!」 楽しそうに音楽を奏でるヴィント。 それを防ぐブラウ。 互いの技は同時だった。 辺りに強い風が吹き荒れる。 「きゃっ…!」 「此処まで強い風が来るって事は…」 「物凄いモノ同士がぶつかったって事になります…あの、ヴィントって人は相当…」 「強い、って事か……面倒だな…」 「…ぼ、ボク等に出来る事なんてあるんでしょうか…?」 全員が喋りづらそうにしながらも風に耐えていた。 そしてしばらくすると風がやむ。 「救世主の皆!戦いは始まったよ!やらなきゃ、やられちゃうんだから!!」 「は、はい…!えっと……あの人の場所があそこだから、ボク等の距離感は………よし。ロートさん、是で正しい筈です!」 「オッケー♪…じゃあ、是っ。桜っ!」 桜は錬金術の計算をし、ロートに告げる。 するとロートは適合薬剤を取り出し、桜の投げつけた。 「…えっと、是をこうして…こっちはこうで……出来た!行きます!!」 桜は出来上がった薬品をヴィントに向かって投げつけた。 「…聞け、破滅の音を……ラプソディー」 くすくすと笑いながら笛を吹くヴィント。 薬品が当たったと同時に狂詩曲が流れ。 辺りには霧が発生し。 「痛っ…!くそ…!」 ブラウの張っていた防御壁は消え。 ブラウは痛みに目を細めた。
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